長時間労働を強いるブラック企業風土について
長時間労働「忙しい」を自慢する企業風土はそろそろ止めないか?
長時間労働を強いる体制はブラック企業!
日本の場合労働時間が長いというのは実態だと思います。政府はかつて1980年代に年間労働時間を1800時間を切るようにと、いろんな約束をしてきています。その結果、現実の数字を見るとやはり1800時間を切っています。ただ、その大部分の理由はパート労働者(短時間労働者)が増えたということです。つまり正社員の労働時間は当時とほとんど変わっていません。週休二日制になったのですから本来六日間働いていたのが減った、ただしその分残業が増えた。というのが現状です。
正社員の年間労働時間
正社員の年間労働時間 厚生労働省 |
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・1995年 2038時間 |
・2015年 2026時間 |
とほとんど横ばいです。
ワークライフアンバランスという状況がいろんなアンケートからも聞こえてきます。長時間労働というのは当人の就労意欲の低下であるとか、健康水準も低下する可能性も非常に高いですし、しかも生産性も低下する可能性も非常に高い。長時間労働したからといってその分生産性が上がらなければ、だらだらとただ長時間労働して健康を害してしまっては元もこもありません。。
さらに、世帯全体でのワークライフバランスも非常に悪化する可能性もあるということで、本当に良いことは無い。一刻も早く是正する必要のある課題です。
なぜ、長時間労働はなかなか是正されないのか?
当時は日本からアメリカにどんどん輸出していく、「日本人が働き過ぎで消費をしない。」だから、「その分余ったものは海外に輸出している。」という話から国際的な批判として長時間労働というのが問題視されてきました。そして、国際公約として長時間労働を短縮するということをいったわけです。
ところが実態として週休二日制は実施された、制度は少しづつ変わってきている。しかし、働いている時間の長さについてはやっぱり長時間の人達が多い。ひとつは、日本人が働いている人達についてみれば「仕事が好きだ。」ということも言われます。他に何もやることがないのではないのか?なんてことも言われることもあります。あるいは、「忙しい」ということを自慢そうに言う人もいます。
ということを考えてみると、果たして本当に「忙しい。」という事は本当に仕事の効率がいいんだろうか?ということをきちんと問うていかいと、あたかも労働時間が長いということを「会社の為にやっているんだ。」という風に受け止められがちなところがあります。ここを変えていかいといけないんだと思います。
大雑把に言えば、法律の制度の問題と企業風土、慣習、日本人の意識といった。この二つの問題と考えます。
制度の問題
確かに週休二日制にはなったが、正社員の平日の一日あたりの労働時間は伸びています。結局これは「お互いが合意したんだろう。」という形で実質的には「合意させれた。」という問題があるのではないかと思います。例えば有給休暇ひとつとっても日本人は、年間平均18日ちょっとぐらい与えられているにも関わらず、9日間はとれていません。半分はとれていないのです。こういした有給休暇は労働者がとる権利とされています。「いつでも好きなときにとれますよ。」といっているのですが、実質的には例えば夏のお盆休みなど、まとまったお休みをとるときには、上司にお伺いをたてたり、忙しい時期をあらかじめ情報収集したり、同僚の休みの状況をリサーチしたりといった、心理的なコストが凄くかかってきます。
一方バカンス文化がきちんと定着しているヨーロッパなどは、「これは労働者の権利ではなくて、会社側の義務。」だとなっています。もし与えなければ、会社がペナルティを科せられます。
・36協定
法定労働時間は週40時間!これを超えてはいけないのですが、「別途労使協定を結んだら残業してもいいよ。」これが36協定です。
今の36協定は届出制度になっています。労使が相談して「この時間までは残業してもいいよ。」ということを労使間で決めてくるものです。届出制度なので、届けられれば良いというのが現状です。
この制度ですが二段階制度になっているのを知っていますか?「普段でも残業してもいいよ。」と「特に忙しいときにはここまで残業してもいい。」という二段階なのですが、これがいつも「特に忙しい。」という方に張り付いているのが現状です。
サービス残業は道徳を解くのではなく、ペナルティ!
2017年1月30日政府は、長時間労にペナルティを科す法案の審議に入りました。これまで労働者の自己決定問題が二枚舌だったという問題があります。「お前が容認したのだから良いだろう!」という当事者の主体性が認められながら、一方では、自己決定をするほうに周囲の環境が覆いかぶさって追い込んでしまっているという環境が揚げられます。
これまでは労働基準監督官が、よっぽど目に余る会社だとか、あるいは内部告発があった会社などに立ち入り検査をしてきましたが、これからはかなり力を入れて立ち入り調査をするようになります。